木田英博鉄板画ウエブサイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。
2020年は公募展、個展などがコロナ禍によって、ほとんどが中止を余儀なくされる中、今後の活動はネット利用が重要性を増すようになると考え、Web個展の開催に踏み切りました。ギャラリーを借りての個展開催は、予算が潤沢にあれば別ですが、期間はせいぜい1週間で、作品も多くは展示できません。ネット上の個展ならば、期限の制限はなく、天候など外的条件にも無縁でいられ、展示作品もかなりの数が許されます。数多くの方に見ていただくには最高のツールと思います。新作をどんどん紹介していきたいと思います。
ゆっくりご覧いただければ幸甚に存じます。               

鉄板画のこと

最初に、鉄板画って何?

一言でいえば、1ミリ弱の鉄板の上に作画したものとお考え下さい。
鉄の版画ではありません。
油絵は布製のキャンバスなど、日本画は主に紙に作画するようにです。
ただ、鉄板に絵具類を乗せても安定した作画は不可能であるため、私の場合は弱酸を使用することにより墨や絵具が定着するようにしております。酸と鉄板の化学反応が作画の胆となります。その後、酸は使わずにペイントで着色した作品や炎を利用したものも手掛けており、2024年からは銅板を素材とした作品創りも始めました。今後も新しい手法が見つかれば試していくつもりです。

なぜ、鉄版画を思いついたのか?

2013年に沖縄県の波照間島に行った時、ニシ(北)浜でシュノーケリングで遊ぶために通った駐車場から浜への坂道で、ボロボロにさび付いたガードレールを見たことが契機となりました。
錆び色、形状などに得も言われぬ感動を覚え、錆で画像を創れないかと試行錯誤を繰り返しましたが、錆をコントロールすることには困難を極め、やっと2016年に今の技法にたどり着いたのでした。
鉄板画は正統派の絵からはほど遠く、化学反応や炎による偶然を促す異端の技法を用いていますが、唯一無二のものと自負しております。